くるみ割り人形とねずみの王様

くるみ割り人形師ねずみの王様

E.T.A. ホフマン

1816年

 

✳︎本稿ではあらすじ、本書の登場人物、作者の紹介は行いません。

本書の中で私が主題に関係すると思った箇所、難解だと感じた箇所を考察しており、主に本書を一読された方を主な対象としております。

また、メモ帳形式となり見にくい箇所もございますがあらかじめご了承ください。

 

外的世界と内的世界の交流

外的世界=実際の世界

内的世界=マリーの心の中の世界

その仲介人がドロセルマイヤー

→固いくるみのメールヘンの話などマリーに創造力の源泉を与える

→物語中に自分を登場させるのは物語にリアリティを持たせ外的世界と内的世界を上手く接続するため


おとなの世界とこどもの世界

写実主義ロマン主義

ドロセルマイヤーの作品はとても精巧である

→おとなはその仕組みに感心し、こどもはその作品に感動する

→内面的な仕組み=科学と表面的な作品=印象

→ドロセルマイヤーはおとなにとっては技術者でありこどもにとっては魔法使いである


事実と意味付け

くるみ割人形はくるみを割るための存在である

→事実、おとな的世界観

フリッツに歯を折られ、顎を外されたくるみ割人形はその時点でその存在意義を失う

→おとなであるドロセルマイヤーはくるみ割人形のその本分としての機能を回復させる

→一方、こどもであるマリーは剣を与えるというおとなの価値観としてはくるみ割人形には必要のない特性を与える

→これこそこどものもつ創造性